(後編)
「え・・・と・・・・・・もしかして・・・・・・・」
声が聞こえるところにいるにもかかわらず、いまだ携帯で話しつづけるふたり。
・・・・・はっきりいって、その後のことはよく覚えてない。
おそらく、「はじめまして」とか「こんにちは」とかいってたのだろう。
ただ一つ、覚えている事は
「生きててよかった♪」
神様、ありがとうございます。
「で、B君なんですけど」
Mさんにいわれ、はたと我に返る。
そう、われわれはB君にもあいたい!!!!!
「実は、このイベントに参加してるんですよ」
「あ・・・・・」
「じゃあ、やっぱりさっきの・・・・・」
実は、回っている最中にB君の絵そっくりな本を見つけていた二人。
その時に買っていれば、それはそれで違う対面が出来たのではなかろうか。
そんな事をふと思ったが、今更どうでも良い事である。
「やっぱり分かりました?」
そういいながらそちらへむかうMさん。
「分かりますよ〜ものすごく特徴ありますから」
とかいいつつも、パンフレットの時点で気づいてなかった二人。
「こんにちは」
すったかたーと予想どうりの場所に来たMさん。
そこには、二人の女性が座っており、突然、片方の女性が私たちから隠れるように、背を向けてうずくまった。
「ほら、B君、さくらさんとふぉおさん」
しかし、アルマジロと化した女性はくぐもった声で「ぎゃー」だの「ワー」だのと叫ぶばかり。
・・・・・・なるほど。あれがB君。
うわさどおりシャイである。
「ほら、B君。せっかくきてくれたのに失礼でしょ」
背中をもう一人の女性Hさんに、ぺしぺしとたたかれ、ようやく立ち上がったB君。
「こんにちわー!!!!!」
「うきゃああああああ♪」
「いやああああああ♪」
挨拶をされ、あたりの迷惑かえりみず、逆に悲鳴をあげる熊野とふぉお。
清楚なお嬢さんだという話は聞いていたのだが・・・・おにぎりにしてもって帰りたいぐらい、かわいい・・・・・・。
・・・・あえて書く必要もないと思うが熊野とふぉおにヘンな趣味はない。
「ふぉおさあああああああああん!!!!!髪の毛緑じゃないんですかあああああああ?????」
わーい、また目の保養♪と喜んでいたところへ・・・・・・いきなりつっこまれる。
「あはははは。緑のはずなんだけどねーーーーーーーー」
確かに、ふぉおは髪を緑に染めた。しかし、どう見てもこげ茶なのである。太陽に透かせばかすかに緑がかったこげ茶なのだが、ビックサイト内ではそれもかなわない。
「どっちかといえば、あたしのほうが緑」
とは、熊野。
ずるいよな。自分ばかりブリーチかけて染めてるんだから。
「それにしてもB君の緑ってきれいだよね」
唐突に話を変えるのは熊野。
手にはいつのまにか同人誌。
一瞬、B君の動きが止まり、突然暴れ出す。
「みないで下さいみないでくださいいいいいいいいいいい」
「じゃあ、見ないから買う」
「だめですだめですだめですうううううううううううううう」
なぜか売ってくれないB君。
「ほらほら、B君、おどって」
そこへHさんが私たちに救いの手を。
とたんB君が踊り出す(笑)
そのすきに会計を済ます、熊野とふぉお。
我にかえったB君が商売人らしからぬ事を言っていたけれどあえて無視♪
(でもサービスしてもらった)
しかし・・・・・B君とお話できるだけじゃなく、まさか踊りまで見れるとは・・・生きててよかった(はあと)
「じゃ、そろそろ行こうか」
いつまでもいたら営業妨害である。
「じゃーねー♪」
「あえてよかったー♪」
「またねー♪」
それぞれ挨拶をしてお二方のスペースを後にするMさん、熊野、ふぉお。
「B君って・・・・・ほんとにカキコどおりの人だぁ・・・・・」
「なかなか楽しい人でしょ?」
「確かにシャイで清楚でカキコどおりですね〜」
Mさんにそう聞いていて、あっさり想像力の限界に達していたのだが、納得。
その後、休憩と称してお昼を食べ、ふたたび会場へ。
スレイヤーズ系(というかガーXヴァル)を買い漁る某二人。
うち、錯乱している一人など、よく確かめないで同じ物を2冊手にしていたなどという事は秘密である。
Mさんお勧めのものは速やかに購入し、ご機嫌な二人。。
「ここって、コスプレ禁止なんだよね?」
ふとMさんが確認するようにとうた。
「パンフレットにはそう書いてありますけど」
「・・・ってことは、あれは普段着?」
Mさんの視線の先にはピンク色のきぐるみのような物をきているお嬢さんの姿。
「・・・・・・そうでしょうね。きっと」
・・・・・・・世の中って広い・・・・。
「で、直江はどうすんの?」
「え?」
熊野の不意打ちに動揺するふぉお。
「直江?」
不思議そうに聞くMさん。
「ふぉおさんがはまってる小説のキャラクターなんですよ」
・・・そう。直江信綱。ふぉおが理性を失うキャラクターベスト5に位置する男。
「買わないの?」
「・・・・・・・・・いい」
「ふーん・・・・」
そういいつつ、ずるずるとふぉおを引っ張る熊野。
「え?ちょっとまって!!!」
熊野の意図にきずいたふぉおは暴れる。
彼女はふぉおをそのスペースに連れて行こうとしているのである。
「ほら、直江が『買って』って」
「いってないそんなことー!!!!!今見たら全部買っちゃうからだめーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
「・・・・・かっちゃえかっちゃえ」
背後であおるMさん。
ふぉおの意志はお粥よりも柔らかい。
いま、連れて行かれたら本当に破産するほど買ってしまう。
絶体絶命のピンチ!!!!!
・・・・しかし、神はふぉおの味方だった。
直江関係のサークルさんは、そろそろ終わりの時間が迫っていたせいか、すべて撤退していたのである。
ほっとしたような残念なような・・・・。
そこで教訓。
「迷ったら買え。後悔したくなければ買え」
・・・・・・・・・・・でも、撤退しててくれてよかった・・・・。
「・・・・・・そろそろ私たちも帰りましょうか?」
「そうだね」
「じゃ、B君ところにもう一回挨拶してこよう」
というわけで、ふたたびB君のところへ。
ついでに住所交換してもらう。
熊野の手帳に住所を書いたB君、Mさんのセンスに脱帽(笑)
一生お二人について行きます私(笑)
・・・・・・熊野、そのページ、絶対なくさないように。
そうして、Mさん、熊野、ふぉおは会場を後にしたのである。
・・・・・・・途中、会場の外にいたコスプレ集団の記念撮影現場を目撃したが・・・・・・・なんというか・・・・・・・恥ずかしい・・・・・・。
普通のコスプレとは何やら違うのである。
しかし、彼らはあたりに漂う寒い空気に気づく様子もなくひたすら記念撮影・・・・。
・・・・まあ・・・・・・マント女のふぉおがとやかく言える立場ではない。
「若気の至り」
そんなことを考えながら、三人はバス乗り場へ向かったのである。
感想
もう、楽しかったです。
普通のコミケでこんなに楽しいのなら夏コミ冬コミはもっと楽しいに違いない・・・・。(いろいろ困ったちゃんもいるみたいですけど)
作家さんたちもむちゃくちゃ上手なんですよね。ただし、好みにもよるでしょうが、中を見るとどうしようもないのもあるとか。気をつけましょう。
さーて、次は春コミね!!!!!!!(その前にあるなら教えてください(笑))
それでは、長い文章、お付き合いくださりありがとうございました。