松原ぼたん
何時からだろう、彼女を抱き締めたいと思うようになったのは。
彼女は幼いときから側にいて、血は繋がってなくとも、間違いなく家族だった。
何時からだろう、彼女を抱き締めたいと思うようになったのは。
彼女は大人で、何でもできて、なのに時々とても儚い。
何時からだろう、彼女を抱き締めたいと思うようになったのは。
これは欲望なのか? それとも・・・・。
何時からだろう、彼女を抱き締めたいと思うようになったのは。
いっそ獣だったなら、何もためらう事はないのに。
抱き締めて、口づけるのに。
何時からでしょう、彼を子供と思えなくなったのは。
最初はほんの小さな子供で、母親になろうと思ってました。
何時からでしょう、彼を子供と思えなくなったのは。
男の子の成長が、こんなに早いなんて知らなくて。
何時からでしょう、彼を子供と思えなくなったのは。
母性とは無償の愛。なのに・・・・。
何時からでしょう、彼を子供と思えなくなったのは。
わたしはおかしいのでしょうか?
彼に抱き締められたいだなんて。
相手は母親で。
相手は子供で。
俺を子供としか思っていないのに。
わたしを母親としか思っていないのに。
時々、何もかもぶち壊したくなる。
いっそ血が繋がっていれば。
いっそ側にいなければ。
こんな気持ちになることもなかったでしょうに。
傷つけるのが怖くて。
軽蔑されるのが怖くて。
何も壊せない。
何も言えない。
獣性ならば、なぜに切ない。