松原ぼたん

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　『あたしゼロスが好きだよ』

　いつからでしょう、あったはずもない情景が脳裏に浮かぶようになったのは。

　僕はねリナさん、記憶力はいいほうなんですよ。

　ましてや貴方にかかわった時間を刹那とさえ忘れるはずがありません。

　なににどうしてでしょう、絶対あったはずのない光景が思い出されるのは。

　状況から、次の行動を考えたことはあります。けれどそれはあくまで概念とし

てのもの。必要以外の予想はむしろ邪魔になる。

　けれど目の前に浮かぶのは何より鮮やかな情景。

　だからリナさん、貴方のせいなのですよ。

　僕が夢をみるようになったのは。

『会えてよかったと思うよ』

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