松原ぼたん 


この気持ちは枷だろうか? それとも……。

 俺には血のつながらない母親がいる。物心つく以前どころか卵のころから育ててくれた――そういう意味では本当に“母親”である女性。血のつながりなど関係なく慕っている女性。
 なのにその中に混じり始めた異質な,あるいは区別をつけ始めた感情。血がつながっていれば気がつかないかもしれない程度のものを俺はすくいあげてしまった。
 いまさらなかったことにはできない。
 いつかこの感情は消え、純粋に母親と思える日が来るのだろうか?
 それともすべてを覆うほど大きくなってしまうのだろうか?
 たとえこの先彼女以外を好きになり、結婚し、新しい家族をつくったとしても残り続ける気がする。
 忘れられる存在でないからこそ。

 この気持ちは枷だろうか? それとも……。


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