いつもと変わらぬティータイム

ふぉお


「・・・・・・・ヴァル、あなたは変わってしまったわ」

ティーカップを優雅に持ち上げ、フィリアは少し寂しげに言った。

「・・・・・俺が?」

いつものようにフィリアのお茶につきあいながら、ヴァルは訝しげに問う。

「俺は何も変わっていない」

「いいえ・・・・・」

かなしげに首を振るフィリア。

「あなたは・・・・太ったわ」

がちょ。

ヴァルは手を滑らした。

ティーカップと皿がぶつかり嫌な音を立てる。

「あなたの、そのエロ腰・・・・最近、肉付きが良くなったと思うのは私だけ?」

「・・・・・・・こら」

「ダークスターとお友達だったころの、せくしーだいなまいつな身体はどこへ行ってしまったのかしら」

「・・・・・・・・・をい」

「このまま、ムチムチと某靖幸ちゃんのようになって喜ぶのは二人だけよ!」

「ちょっとまて、その具体的な人数は何だ!!!!」

「火竜王の神託よ。それよりも、あなたの人気の30%はそのエロ腰なのよ。それをなくしたらあっという間に人気投票でにゃらにゃらの鍋以下よ!!!!」

「・・・・・そこまで言うか」

「そうしたら、あなたなんてただの流し目の不幸な青年ってだけじゃない」

「好き勝手いってんじゃねぇ!!!!」

どか。

ヴァルはテーブルを力いっぱいたたく。

「俺が太ったのはあんたのせいだろうが!!!!!」

「・・・・・・・私の?」

「毎日毎日、一日5回のお茶につきあって、おまけに、あんたがうまい菓子なんか作るから、つい食いすぎてしまうんだろっっっ!!!!」

「・・・・・・・・・あら」

「『あら』じゃねぇっっ!!おまけに毎日が平和すぎて戦うこともねぇ。それで太らないあんたの方がおかしい!!!!」

「私はいつも寝る前には500回のモーニングスターの素振りをやってますから」

・・・さらりと言ってのけるあたり、侮りがたしフィリア。

「俺も寝る前に腹筋でもするかな」

ぽつりとヴァルはつぶやいた。

「そんなことやらなくても、運動させてあげますよ」

ふいに虚空から聞き覚えのある声。

「貴様!おかっぱ神官」

真っ先に反応するヴァル。

「いやあああああああ!生ごみ魔族〜」

すばやくモーニングスターを構えるフィリア。

「・・・・・二人とも相変わらずで何よりです」

しゅんっっ!

一瞬のうちに部屋の中に転移した獣神官ゼロスは、相変わらずの笑みを浮かべた。

・・・・それにしてはかすかに笑みが引きつっているあたり、まだまだ修行がたりなかったりするけれど。

「何しにきたのですか!!!!」

「何しにって・・・・・決まってるじゃないですか。獣王様の命令です」

「火竜王の名において、今度こそあなたを駆除します」

びしぃっとモーニングスターでゼロスを指す。

「・・・・駆除って・・・・まあいいでしょう。でも、そんなこといっていいんですか?」

「・・・・え?」

「ゼラス様は太りすぎた彼に運動させてこいとのことなんですが」

「・・・・・・・獣王が・・・なぜ?」

「曰く『エロ腰は人間国宝』だそうです。・・・・・まあ、ヴァルガーヴさんは人間ではないですけど」

とたん、フィリアはヴァルをじっと見詰める。

「・・・・おい・・・・・なにか変なこと考えてるんじゃねーだろうな?」

「ヴァル・・・・これも火竜王の思し召しです。ゼロス、よろしくおねがいします」

「保護者の許可も下りたことですし、そんなわけですので、しばらくお付き合いしてもらいましょうか」

「ちょっとまて、俺の意志は無視かーーーーーっ!」

そんな叫びも空しく、ずるずるとゼロスに引っ張られ、姿を消すヴァル。

「ヴァル、がんばってくださいね。お茶を用意して待ってますから」

後に残るは、本末転倒なことを考えているフィリアだけ。

そうして、何も変わらぬ一日がすぎて行く。

 


あああああああああああ・・・・・・・ごめん。ヴァル。太らせちゃったわ。がんばってやせてね♪

ゼロスはだすつもり、まったくなかったのに。無理矢理終わらせるためにだしちゃった。未熟者ね。

ちなみに、某靖幸ちゃんという名は・・・・・・わかる人だけわかって(笑)ファンの人に怒られそうなんで、ここでは書けません。ああ、でも、大好きよ。靖幸ちゃん(はあと)