TABLE−2

ももじ


 

 【前編】―仲良し4人組と魔族の場合

 

ゼーハーゼーハゼーハーーー。。。…………………

 

「いやあ〜!ようやくマラソンから解放ですか、全くフィリアさんにはまいります。」

「お前はずっと飛んでたじゃないかっ!ふざけんな!!!」

 

−フィリアがフレイムブレスを打つ瞬間。

 マラソンに飽きたゼロスが振り向きざま光球を放ち、その場に全員ふっとんだ。

 フィリアは気絶したままでひっくり返っている。

 

「しょうがねえな、背負って……−う。………重い。」

「何で攻撃しなかったんです?」

「オレには攻撃技の名前がない。それに、魔法が使えない。」

「?何故です?」

「“あの日”は魔法が使えないんだってさ、オレ今日その日らしい…何泣いてんだ?」

「い、いえ…大きくなって………本当に………」

 

ここは某パーティー会場。スレキャラのおなじみの面々が全員集合している。

 

「………オイゼロス。持久力はレギュラーに必要な要素か?」

「逃げ足の早さは重要です。素早く箸でお豆を移動できるか?というのも重要です」

「ゼロス!嘘を教えないで下さいっ!あ。ヴァル、はみだしてるわよ。」

「オマエも手伝えよゼロス………オイ!それはスヌーピーだ!」

「え?これディズニーでしょう?それにしても、フィリアさん〜〜〜。

 足は綺麗ですけど小指〜!殆ど無いですよ、あなたの爪。」

「だろ?小指の爪はスペース無いからテクニックが、……………。

 ………やめた、お前と話すと頭がヘンになりそうだ」

「おやおや、恋の病ですか?僕三角錐なんですけどそれなりに大丈夫ですよ。」

「全ッ然違わあーッ!!!誰かコイツを殺してくれ、頼む。」

 

うんざりした顔で涙ながらに訴えるヴァル。

しかし手を天へかざし仰ぎながらゼロスの独り言は続く。

 

「あなたがフィリアさんに舌を入れたかどうかなんてことは問題じゃないんです、

 ましてやガーヴ様のチチ疑惑が投票に貢献したかなんてことは、ええ、

 僕にとっては青いレモン。」

「止めるなフィリア!殴らせろッ!!一発殴らせろォーーーッ!!!!!!」

 

フーッ、と一つのテーブルから一筋の煙が立ち上る。

 

「しっかし成長しないわねえ〜〜〜あの子。

  相変わらずどこかに爆弾でも落ちたような寝グセがついてるし。」

「オレが見込んだことはあるだろ、ゼラス。何故ゼロスと組ませたんだLは?

 あんな危険なヤツと…ああっ!錫杖でつつかれてるぞっ!つつかれてるぞっ!!!!

 ああっ!オレが痛いーーーーーーーっ!!!」

「…あんたと組むと違った意味でヴァルが危ないのよ、ガーヴ。」

 

このパーティーはそもそも。

混沌のハハ主催

『敗者復活!二度とTVに出てこないだろうあの人に会いたいスレイ版!

 全員集合!!キーワードは金曜18:30みるときは部屋を明るくね!』

 

何ともシニカルなタイトルは、少年誌の煽り文句にヒントを得たL様が、

対抗して付けたものであった。

会場にはシャブラニグドゥ、略称S様の踊った字で書かれた垂れ幕がひっそりと

かかっており、否応なしに(一部)盛り上がっていた。

 

「ぜろすーゥ、酒!」

 

容姿端麗、華麗な身のこなし、純魔族。それなりに強いはずなのだが、

ゼラスの命令はことごとく失敗しているという経歴を持つゼロス。

にも関わらず“それは秘密です“−

と至ってシンプルな話術で女子中学生キラーと化した彼は、

今回人気投票一位を獲得した同人誌界のアイドル。

L様の褒美で、敗者復活戦の司会進行に抜擢された。

 

「何で…一位なのに働いているんでしょう、僕」

素朴な疑問である。

「イエそれは決して考えてはならないこと…」

くるっと横目で魔族テーブルを見やると、上司のゼラスはフィブリゾとガーヴと

共に王様ゲームに興じていた。ため息をつきながら、エコー付きマイクを手にする。

 

「レディースアーンドジェントルメン!!!!!!!!!!!!!!!!

 ようこそおいでなさいました、皆様。所詮この世は弱肉強食、

 今日も魅せます魔性の女!混沌に沈みたい人募集中ついでにカレシ♂も募集中!!

 我らが闇の女王L様主催!!

『TVにだしてやろう(か?)レギュラーかけて敗者復活戦!』

 開幕ーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!−ちなみにS様、タイトル違います」

「調子にのってんじゃないわよ、ゼロス」

 

ゼラスがそういったときには、横でフィブリゾがカウントをとっていた。

 

「ワン、ツー、スリー勝者ゼラス!」

「いままで有り難うゼロス!あたしはあんたを忘れない!!」

「なんかアイツが滅びを求めるのわかるような気が…」

 

***********しばらくお待ち下さい by ゼロス ************

 

「さて願わくば今一度【TV版スレイヤーズ】に出たい!というマイナーキャラなあなた。

 企画は何本でも、もってきていただいて結構です。

 学園もの、SFもの、古今東西いろんなテーマがありました…」

「なあ、リナ。オレ思うんだけど…それスレイヤーズじゃないよな、もはや」

「ふっ!!!!!!」

 

瞬間、L様の吹き矢にやられたガウリィが床に横たわった。

なんて古典的な技を…ともがくガウリィを無視して説明は続く。

 

「これは有望な視聴率がとれそうだな、とL様が判断した場合のみ、

 レギュラー獲得!貴方のキャラクター商品もぞくぞく発売決定されることでしょう!

 下敷きテレカ、トレカに歯ブラシ、鉛筆ぬいぐるみ、etc,etc.

 果てはパンツもあなたの顔がプリント!」

「最後のはいらん。」

「ハイ、質問です!ゼロスさん!」

「何ですか、アメリアさん?」

「ローカルな地方TV局の視聴率でしょうか?主要TV局の視聴率でしょうか?」

「少なくとも動いてないCMが流れないTV局です、あしからず。」

「そうですかー…いい案だと思ったんですけど…ごめんなさい、ゼルガディスさんッ!!」

「ああ…ん?ってことは何だアメリア。オレがレギュラー対象外ってことか?!」

 

ハハハハ、と無邪気に笑っているガウリィ。

しばらくしてリナとゼロスの熱い視線に気づいた。

 

「お、オレも…?」

「ガウリィ。収入のないヤツと一緒になるわけにいかないわ」

「ななななんだよっ冷たいな〜〜〜!そりゃないんじゃないか、リナ。

 お前のスリーサイズを受け止められる男なんて世界広しといえどもオレだけだぞ!」

 

**********しばらくお待ち下さい2 by ゼロス ************

 

「いいですか、リナさん!会場は壊さないこと!さて、ガウリィさん。…大丈夫ですか?

 あなたにとっておきのチャンスがあります。まずはこれを。」

 

モニターがするすると降りてきて、アニメ番組が放映された。

 

「ああこれ!オレ知ってるぞ、ゼロス、『ロストワールド』」

「くると思いました…『ロストユニバース』です。精神的なパワーが攻撃の決め手、

 ケイン、ミリィと共にキャナル=ヴォルフィードが、ロストシップ探しをかけて

 ダークスター、ナイトメアと戦いを繰り広げるSFも…って聞いてませんね?」

 

既にリナ達はロスユニについて熱く語っていた。

持っているトレカの番号をお互い交換しはじめている。

 

「全くみなさん協力的で助かります。注目して下さいっ!このナイトメアに!!」

 

スタイルの良い背格好、少しヴァルにも似ている切れ長の瞳、

放つ眼光の鋭さは別物だがソレは。

 

「ガウリィさん!!??」

「お、オレ?」

「そう、この物語中の敵役ナイトメアはあなたに生き写し。

 これを利用しない手はありません、あなたに彼の役をやってもらいます、ガウリィさん。

 レギュラー獲得のために!」

 

衣装の心配をしているガウリィを連れ、

エセ監督のゼロスはロスユニの世界へいざ、往かん。

 

 

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今回すごく長いです^^;

コンパクトな第3回はガウリィ インざ 「ロストユニバース」です。

あまり深く考えずにどうぞ(笑)