匿名希望
「やっほーヴァル、元気ぃ〜?」
「・・・・相変わらず元気だな、お前」
「そっちこそ相変わらず生意気な口きくわねー。『リナおねえさん』でしょうが?」
・・・・言わなきゃ駄目なのか?
「・・・・逆らわない方がいいぞ」
と、ガウリイ。言ったそばからリナ=インバースに殴られていた。・・・・確かに逆らわない方がいい。
あれ?
「なあ、フィリアは?」
「遅れて来るのがいるのよ、それ待ってるはずだけど」
何でだ? 確か全員この場所知ってるはずだよな。
・・・・どこか気になる。
「親分、どこ行く?」
「散歩だ」
ドアを閉めると辺りを見回し、人が居ないことを確かめると飛び上がった。見つかったらフィリアに何か言われるだろうが、この方が効率がいい。
暫く飛んで行くとフィリアが見えた。こっちへ帰って来る途中だったんだろう。
ついでに見知らぬ男の姿も。
・・・・誰だ、アイツ!?
道を聞かれたなどとというくだらない理由も考えたが、それにしては親しげすぎる。
えーい、フィリアになれなれしくしやがって。
フィリアがなにやら言って元来た道を帰ってゆく。
俺はそいつの前に降り立った。
「ヴァルか?」
何を聞いたか知らないが、馴れ馴れしく呼ぶんじゃねぇ!!
「お前、誰だ?」
「おいおい、誰って・・・・」
「フィリアとどういう関係だ!?」
そういった瞬間、そいつは確かに鼻で笑った。腹が立つ。
「何だと思うんだ?」
「知るか、そんなの」
いきなりそいつは大爆笑した。
「何なんだよ、一体!?」
「・・・・いや、からかって悪かった」
「だから何なんだよ!?」
「落ち着け、俺だ」
「だから知らな・・・・」
あれ、けどよく見るとどっかで・・・・。
「合成獣男か?」
「その呼び方はやめろと言ってるだろーが」
この反応。間違いない。
「じゃ、元合成獣男」
「・・・・お前、からかったこと根に持ってないか?」
持ってるに決まってるだろーが。
なまじっか合成獣姿のインパクトが強すぎて気づかなかったが、この男ゼルガディスじゃないか。
「どうやって合成獣やめたんだ?」
「・・・・話せば長いことになる。それよりお前、フィリアが見知らぬ男と歩いてたらいつも突っかかってるのか?」
「べ、別にそういう訳じゃ・・・・」
・・・・今までそういうこと無かったからなー。
「若いな」
・・・・ほっといてくれ。
「・・・・それより、何でフィリアあんた待ってたんだ?」
話を誤魔化す意味もあり、そう聞いてみる。
「ああ、アメリアが来るのなら買い足すとかいってたからそのせいだろう」
じゃあ、さっき行ったのは買い物か。どうせリナ=インバースが居るんだから一人前ぐらい余計に買ってても問題ないだろうに。
「帰ってきた様だな。ずいぶんと早い」
さてはコイツ買い物待たされてるクチだなと思いながら、その視線の方向をみると、フィリアが危なっかしく大荷物を抱えている。絶対買ったの一人前じゃないだろう?
「しょうがないな」
荷物を支えに走る。
「あらヴァル。迎えに来てくれたの?」
「たまたま。散歩だ散歩」
「若いな」
ゼルが呟いたのか聞こえたが、当然無視。ほっとけよ。