お正月だよ・全員集合っぅぅ!!!!

一姫 都


          

「はーーーーー…まいっちゃうわねーーーー」

「何がさ、ゼラス」

こたつへと身を委ね、先ほどからそこへ寝転がっているゼラスへ向かって呟くフィブリゾ。

みかんの皮をむき、一つ口へと運びやる。

見ればテレビの中では、新春隠し芸大会が華やかに行われている最中だった。

その上には、先日一家(?)でついたモチで作った鏡餅が存在感を振りまいて飾られている。

その時の写真を見ていたシェーラも、話しに参加する。

「どうしたの、ゼラス様?」

身を起こし、シェーラの見ていた写真を見始めつつ、呟くゼラス。

その中に自分の写りの悪い物を発見し、すかさず抜きやる。

「あー、これ見てよっ、グラウってさーーーー、いつでも同じカオよねぇっ」

笑いを堪えようともせずに、口を開けつつ言うゼラス。

「そーゆー奴ぢゃん」

二つ目のみかんに手を伸ばしつつ、フィブリゾが平穏に言葉を紡ぐ。

写真をのぞき込み、シェーラが少し怒ったようにして言う。

「いいんですっっ、グラウ様はこのお顔が一番かっこいいんですからっっ」

なんだかフォローになっていないコメントを残して、シェーラがこたつから立ち上がる。

その拍子にすこしこたつ布団が捲れあがり、面倒くさそうにそれを直し空気の出

入りを塞ぐゼラス。

未だ写真を見続ける親族を横目に、台所へと足を運ぶ。

先ほどから栗の甘い匂いが鼻を掠めている…とてもお正月らしい情景だと思いつつ。

シェーラはゼロスに声をかける。

「できたーーーー?」

ピンクのエプロン(どうやらゼラスの趣味らしいが)に身を包み、きんとんをこしていたゼロスは、

ふうと一息つき言葉を紡ぐ。

「もうすこしですね。

ああ、そうだちょっと手伝ってください」

「なぁに?」

「これっ」

そう言って、すり鉢と棒を手渡すゼロス。

「ゴマをすってください」

「了解」

いすを持ってきて、ゼロスの隣に座る。

ごりごりごりごりとその単純な…、今にも飽きてしまいそうな作業を繰り返す。

「…ねぇ、今日何時にL様くるの?」

ちらりと時計を見、再びその手元に視線を落とす。見ればもう朝の5時だった。

「結局…年越しで馬鹿騒ぎしてたのねぇ…あたしたち…」

「まあ、いつもの事ですけどね…。

ええと……、確か3時頃だと思いましたよ?」

思い出したように付け足し、その手をとめる。

お重を取り、菜箸でテキパキと栗きんとんを詰めていく。

「できた…っと。

そっちはどうです、シェーラ?」

言われ、自分では何処まですったら終了なのかということは解らないので、それ

を突き出す。

「ふむ、いいですね」

それを受け取り、一旦テーブルに置く。

「準備万端?」

「ええ、そうですね。

あとはみんなが揃えば…」

エプロンを脱ぎ、安堵するようにため息をつくゼロス。

「うぃーーーーすっ」

「仕事終わったぞー」

ふいに玄関の方から声がし、シェーラは小走りにそちらへと向かいやる。

途中寝ころんでいたフィブリゾ様を踏んづけそうになり、避難の声を浴びたが、

結果的には踏まなかったので気にしない事にした。

「グラウさまっっっ、早かったですねっっっ」

至極幸せそうに笑みを漏らしつつ、その腕に抱きつくシェーラ。

「まあな、おとなしくしてたか?」

その頭を愛おしく撫でつつ、奥へと足を進める。

玄関で一緒になったガーヴがリビングについたとたんに、そのテーブルに何か瓶

のようなモノを威勢よく置きやった。

どんっっ

「なぁにぃ、これ?」

二人の登場に各々挨拶を交わし、ゼラスがそうつぶやいた。

「酒だ、酒っ」

呟き、袋からそれを取り出す。ゼラスが嬉しそうに声を上げ、ゼロスにグラスを

要求する。

「きゃーーーっっっ、らっきぃっっっ

昨日ビール全部飲んじゃってさーーーーっっ、どうしようかと思ってたのよーー

ーっっ」

たぶんガーヴがこの酒を持ってきてくれなかったら、確実に自分が買いにいかさ

れていただろうとゼロスは確信しつつ、グラスを戸棚から取り出す。

「ゼラス様、ほどほどにしてくださいね」

言っても無駄だとは解っているのだが、言わなければもっとタチの悪い事になる。

「わかってるわようっ」

想像通り、全然解っていない声で返事を返すゼラス。

「ガーヴどうしたのさ、昨日は。グラウと同じように仕事?」

隣に座りやるガーヴに、フィブリゾは半分寝ぼけている頭を大して動かしもせず

につぶやいた。

「まあな。それにしても、めしはまだか?」

相も変わらず、みかんと酒が散乱しているテーブルを虚ろげに見つめ、呟くガーヴ。

その向かいに座りつつ、グラウが静かに呟く。

「まだディープシーが来てないみたいだけど?」

「そうですねぇ…」

見渡せば、まだ屋敷には自分を含め7人しか集まってない。

グラウ様のところのグロウは任務遂行中で参加出来ないとの事だし…。

その隣に座りつつ、シェーラが何処か心配そうに呟いた。

「…まさか…、またどっかのドブにはまってるんぢゃ……」

昨年あった出来事を思い出しつつ、シェーラが重く呟く。

「…どうだろうな」

本当にあった出来事だけに、軽く否定は出来ないと考えるガーヴ。

「……抜けまくってるもんねぇ…あの娘」

酒をかっくらい、テーブルに顔をのせのほほーーーんとしつつゼラスがどうでも

よさそうに呟く。

「……にゃーーーーっっ、こんちゃーーーーーっっっ」

「おっ、噂をすれば」

どたどたと騒がしく入ってきたのは、張本人のディープシーだった。

「にゃははははっ

 来る途中、どっかのおばーーちゃんに道聞かれてさーーーーっっ

 つれていってあげたら、お礼にこんなにおもちもらっちゃってーーーー」

 ひ弱な体に似合わないその、およそ10人まえはあるであろうもち袋をゼロス

に手渡す  ディープシー。

それはそうと、なんと地球に優しい魔族だか……。

「相変わらずねぇ、ディープシー」

「ゼラスおねーさまもねんっ

そんなに酒ばっか飲んでると酒魔人になっちゃうよんっ

――もうなってるかぁっ(はぁと)」

「うっさいわねっ」

ディープシーからの手みやげ(?)を持って、台所へと用意のために進みゆくゼロス。

「ほら、シェーラもお手伝い」

グラウがぽんっと、シェーラの頭をたたき優しく指示する。

「はーーーーいっっ」

ぴょこんと元気よく立ち上がり、台所へと向かうシェーラ。

ゼラスの隣へと座り、グラスを要求しつつみかんを食べるディープシー。

「ディープシー太ったんじゃない?」

「えっ、ウソっっ」

フィブリゾの言葉にまともに慌て、顔を両手で隠しやるディープシー。

「そんな事ないだろ」

グラウが助け船を出すが、ゼラスがさっきのお返しとばかりにつっこみまくる。

「ははんっ、どーーーーかしらん。

あんた甘いものすきだものねぇ。アメやらチョコやら…」

そう言って、ディープシーの頬をふにふにと引っ張る。

「やーーーっっ、えーーーっっ、まじでっっ!??」

まるで女子高生のような甲高い声で言い返すディープシー。

本人はかなり気にしているらしい。

「おー、そーいえばさー

こないだ食ったチョコうまかったなー」

ガーヴが話の筋道を違え、意気揚々と酒をかっくらう。

ゼラスとかちんっと、一度グラスを交え、二人でがぼがぼと飲み干してゆく。

「こないだ?

いつのことようっ」

もうすっかりできあがってるゼラスが、それでも元来酒に強いので飲まれる事は

なく、結構しっかりとした口調で問い返す。

「あれじゃないの。

ゼロスがこないだお歳暮にもってきたやつ……」

その情景をみつつ、少しあきれた様子で呟くフィブリゾ。

「ああーーーっっ

あれおいしかったよぅっっっっ」

ディープシーがぱあっっと、顔をまるで太陽のように輝かせ話に参加する。

「あたしなんかさーっっ、一日で一箱たべちってさーーーっっ

ははははははははははははっっ」

「だから太んのよ」

「ぐさっっっ!!」

ゼラスのつっこみに効果音まで付けて、傷ついた事をアピールするディープシー。

「けど、あれは美味しかったな。

うちもシェーラが半分以上食ったけど……」

「なんですかーーーっっ、グラウさまーーーーー?」

自分の名を耳にし、お雑煮を両手で二つもちつつ歩いてくるシェーラ。

それをテーブルへと置き、もう一度問いたがあっさりとかわされる。

「なんでもないよ。

ほら、まだ運ぶモノがあるんだろう?」

「はーい」

「わーーーーいっっ、お雑煮お雑煮――――っっっ」

「いいねぇ、正月って感じじゃねぇか」

ゼロスが奥からお重をおとさぬように慎重に運ぶ。

テーブルへと置き、一段一段丁寧に開きやる。

「わーーーいっ、きんとんあたしのねーーーーっっ」

ディープシーがまるで子供のように嬉しそうに叫ぶ。

「太るわよ」

「ぐさぐさっっっ」

再びつっこまれ、こんどは後ろへと倒れるディープシー。

シェーラが残りの雑煮を配り、グラウの隣へと座り直す。

「ゼロスも座りなーー」

ゼラスの言葉に、手に醤油をもって戻ってくるゼロス。

ちょうどフィブリゾとゼラスの間に座り、醤油をテーブルへと置きやる。

「んじゃ、あけましておめでとうございますっ」

ガーヴが仕切るようにして叫び、ぱんっと一回手をたたく。

「おめでとうございまーーーすっ」

後に付くようにしてそれぞれ挨拶を交わし、おせちに手を付ける。

「やーーーんっ、おいしいこのかずのこーーーーーっっ」

「黒豆ってさー、くうとまめになるんだろ?」

「んじゃ、ゼラスいっぱいくった方がいいな」

「どーーゆー意味よっ」

「グラウ様、エビとってくださいぃっ」

「はいはい

けど、一度にそんなに口につめこんだらいけないよシェーラ」

「そうですよ

まだ沢山ありますから」

「ゼロスー、七味ないわけー?」

 

 

おおよそこの闇に似つかわしくない…、穏やかで平和な時間…。

あたりにはいつまでも、騒がしくその親族の声が響きわたった…。

 

 

―― A HAPPY NEW YEAR ――

 

あけましておめでとう……

 

END

 


あっっけましておめでとうございまーーーすっっっ一姫さんちのお嬢さんでーーーすっっ

…やーーー、こんな幸せな正月を彼らは過ごしてるんでしょーかねぇ?(笑)

けどけど、なんだか書いててめっちゃ楽しかったです。う゛っっ…いつのまにか

7ページ…'(大汗)

そりでわでわでわ…

みなさん、今年もこんな一姫都ですが、仲良ししてくださると嬉しかったりしま

す(はぁと)

+ふぉおしゃん、さくらん…年明けいっぱつめがこんなんでごめん(笑)

 

でわでわーーーっっっ

1/1・ メーアド+ポスペ手に入って幸せいっぱい(はぁと)一姫都

 

よければ感想などよせてやってくださいなん(はぁと)ポスペも大歓迎よんっ